だんだん寒くなってきましたね。私はもともと神奈川の出身で、札幌に移ってきてからそろそろ30年が経つんですけど、毎年、この時期になると少し憂鬱になります。もともと寒いのに弱く、家族の誰もが認める寒がりなんですけど、札幌に自転車旅行にきて、どういうわけかそのまま住んでいます。本当は北海道のあとは、沖縄あたりに行こうと思ってたんですけど、なんでこうなったんだか(笑)、とまあそれはいいんですけど、今回は遺産分割協議の話です。
父親が亡くなり、実家の土地や建物が残された場合、「この家は誰の名義にすればいいのだろう」「兄弟で共有にするべきか」と迷うことはありませんか?
実家を兄弟などの共有名義にすると、将来売却したいときや、さらに次の相続が発生したときに、手続きや話し合いが複雑になりやすい面があります。そのため、相続登記、いわゆる名義変更の手続きを進める前に、まずは「誰がどの財産をどれだけ受け取るか」を考えておくことが大切です。
遺言書がなく、法定相続分とは異なる分け方をする場合などには、相続人全員で話し合って決めます。この話し合いを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」といいます。今回は、父親名義の実家を例に、遺産分割協議のポイントをできるだけ分かりやすく説明します。
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、亡くなった方の財産を、相続人の間でどのように分けるかを決める話し合いです。
たとえば、相続人が母親、長男、長女の3人だったとします。実家について、「母がそのまま住むので母が相続する」と決めることもできますし、「長男が今後引き継ぐ」と決めることもできます。
法律には「法定相続分」という割合が定められていますが、遺産分割協議では、必ずその割合どおりに分けなければならないわけではありません。相続人全員が納得して合意すれば、法定相続分とは異なる分け方をすることも可能です。
なお、遺言書があり、財産を受け取る人があらかじめ決まっている場合などには、遺産分割協議が必要ないこともあります。
実家の相続で考えておきたいこと
実家の名義を誰にするか考えるときは、「今」のことだけでなく、先々のことまで見据えて決めることが大切です。
たとえば、高齢のお母様がそのまま実家に住み続ける場合でも、誰を所有者にするかだけでなく、今後の居住をどのように確保するかまで考えた方がよいケースがあります。場合によっては、「配偶者居住権」などの制度を検討することもあります。母が住み続けたい場合に、所有権は長男が相続し、母に配偶者居住権を設定する方法もあるということですね。
また、実家だけを先に決めてしまうと、あとから「預貯金はどう分けるのか」「ほかにも土地があった」といった問題が出てくることもあります。そのため、亡くなった方がどのような財産を持っていたのかを一度全体的に整理し、そのうえでバランスを見ながら話し合う方が進めやすいでしょう。
話し合いがまとまったら書面にします
相続人全員の合意が取れたら、その内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめます。これは、「誰が、どの財産を相続することに決めたのか」を明確に残しておくための大切な書類です。
相続登記に使用する遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押します。そのほかにも、戸籍一式や印鑑証明書など、いくつかの書類をそろえる必要があります。
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要で、1人でも反対している人がいれば成立しません。遠方に住む相続人がいたり、家族の間で意見が合わなかったりして、なかなか話が進まない場合もあります。
そのようなときには、家庭裁判所の「遺産分割調停」などを利用する方法があります。そしてそれでもまとまらなかった場合は、「家庭裁判所による審判」になることもあります。なお、司法書士は相続登記や書類作成のサポートを行うことはできますが、すでに相続人同士で争いになっている場合に、一方の代理人として交渉することはできません。そのような場合には、弁護士への相談が適していることもあります。
分け方が決まったら、早めに相続登記へ
実家を引き継ぐ人が決まったら、その内容に合わせて相続登記を行います。
2024年4月から、相続登記は義務化されています。遺産分割が成立した場合には、原則として、その日から3年以内に遺産分割の内容に応じた相続登記をする必要があります。
「家族の間では話がついているから」と父親名義のまま長く放置せず、話し合いがまとまったら、その後の登記手続きまで進めておくとよいでしょう。
ご家族に合った分け方を考えることが大切です
遺産分割協議は、単に実家の名義を変えるためだけの手続きではありません。誰が実家を引き継ぐのか、預貯金などの財産をどう分けるのか。これからのご家族の生活を考え、将来のトラブルをできるだけ避けるためにも、大切な話し合いです。
ご家庭によって事情は異なりますので、「この分け方が正解」と一つに決まっているわけではありません。
当事務所では、札幌市厚別区を中心に、札幌市内、江別市、北広島市などの相続手続きや相続登記のご相談をお受けしています。
「実家を誰の名義にすればよいのか分からない」「遺産分割協議書をどう作ればよいのか分からない」「何から整理すればよいのか分からない」といった、まだ方針が固まっていない段階でもご相談いただけます。ご面談は、ご自宅やご指定の場所への出張対応のほか、必要に応じて会議室、喫茶店、ファミリーレストランなどでお話を伺うことも可能です。