日々のくらしと登記のメモ

〜 札幌市厚別区の司法書士による、相続・登記・日々の実務メモ 〜
亡くなった父親が持っていた不動産が分からないときは?
【作成日】2026.10.01 【追記/修正日】2026.10.19

所有不動産記録証明制度を解説

父親が亡くなり、相続の手続を始めようとしたとき、

「実家が父名義なのは分かっているけれど、ほかにも土地を持っていたような気がする」

「昔、地方に土地があると聞いたことがあるが、場所が分からない」

ということってありますよね。

相続登記をするためには、まず、亡くなった方がどのような不動産を所有していたのかを確認する必要があります。このようなときに利用できる制度として、2026年(令和8年)2月2日から「所有不動産記録証明制度」が始まりました。今回は、この制度について分かりやすく説明します。

所有不動産記録証明制度とは?

所有不動産記録証明制度は、特定の人が登記簿上の所有者、正確には「所有権の登記名義人」として記録されている不動産を法務局が検索し、一覧にして証明書を交付する制度です。たとえば父親が亡くなった場合、相続人が請求することによって、父親が所有権の登記名義人として記録されている土地や建物を調べることができます。これまでは、不動産の登記記録は土地や建物ごとに作られているため、「父親名義の不動産を全国からまとめて探す」という仕組みはありませんでした。

そのため、実家については相続登記をしたものの、離れた場所にある土地を見落としてしまう、といったことも考えられました。

所有不動産記録証明制度は、こうした相続不動産の把握をしやすくし、相続登記の漏れを防ぐことにもつながる制度です。

どんなときに利用するとよい?

特に利用を検討しやすいのは、亡くなった方が複数の不動産を持っていた可能性がある場合です。

たとえば、

  • 実家以外にも土地を持っていたと聞いている
  • 昔、山林や農地を購入したらしい
  • 固定資産税の書類を見ても、所有不動産の全体像が分からない
  • 相続人が亡くなった方の財産について詳しく知らない

といった場合です。

2024年4月から相続登記が義務化されていますので、「知らない不動産があったため、その不動産だけ相続登記をしていなかった」という事態は、できるだけ避けたいところです。その意味でも、所有不動産記録証明制度は、相続する不動産を調べるための一つの方法として利用できます。

誰が請求できる?

所有不動産記録証明書は、登記簿上の所有者本人のほか、その人が亡くなっている場合には、相続人などが請求できます。相続人が亡くなった父親について請求する場合には、父親との相続関係を確認するための戸籍などが必要になります。また、代理人によって請求することもできます。

請求は全国の法務局・地方法務局で行うことができ、書面のほかオンラインによる請求も可能です。書面による場合は、窓口だけでなく郵送で請求することもできます。

手数料は、検索条件1件につき1通当たり、

  • 書面請求 1,600円
  • オンライン請求・郵送交付 1,500円
  • オンライン請求・窓口交付 1,470円

となっています。手数料は「検索条件の数×通数」になるため、検索条件を2件指定して1通請求する場合、手数料は2倍(書面なら3200円)ということになりますね。

この証明書だけで「すべて分かる」とは限らない

便利な制度ですが、いくつか注意しておきたい点があります。

まず、検索対象となるのは、所有権の登記がされている不動産です。

そのため、未登記の建物や、土地・建物の表示に関する登記だけがされていて所有権の登記がされていない不動産は、検索対象になりません。また、コンピュータ化されていない登記簿の不動産についても、検索結果に出てこない場合があります。

もう一つ重要なのが、氏名や住所などの「検索条件」です。

所有不動産記録証明制度では、請求時に指定した氏名や住所などをもとに登記記録を検索します。そのため、登記簿に記録されている住所が古いままになっている場合や、旧姓のまま登記されている場合など、検索条件と登記記録の内容が一致しなければ、その不動産が検索結果に出てこない可能性があります。

たとえば父親が何度か転居しており、昔の住所のまま登記されている土地がある可能性がある場合には、過去の住所についても検索条件として指定することを検討します。ただし、検索条件を増やすと、その分手数料もかかります。また、検索した結果、該当する不動産がなかった場合でも手数料は返還されません。

したがって、「この制度を利用すれば、全国の不動産が必ず漏れなく見つかる」というものではない点には注意が必要です。

従来の資料と組み合わせて確認することも大切

相続する不動産を調べる方法は、所有不動産記録証明制度だけではありません。

固定資産税の納税通知書や課税明細書、登記事項証明書、権利証など、亡くなった方が残した資料も重要な手掛かりになります。まず自宅にある書類を確認し、そのうえで「ほかにも不動産がありそうだ」「所有している不動産の全体が分からない」という場合に、所有不動産記録証明制度を利用するという方法も考えられます。

一つの方法だけに頼るのではなく、いくつかの資料を組み合わせて確認することが大切です。

相続登記の前に不動産の確認を

相続登記というと、戸籍を集めたり、遺産分割協議書を作ったりすることを思い浮かべる方も多いと思います。しかし、その前提として必要になるのが、亡くなった方がどの不動産を持っていたのかを確認することです。

特に、実家以外にも土地や建物がある可能性がある場合には、相続登記の漏れを防ぐためにも、不動産を一度整理してみるとよいでしょう。

当事務所では、札幌市厚別区を中心に、札幌市内、江別市、北広島市などの相続登記や不動産調査についてご相談をお受けしています。

「父親がどこに不動産を持っていたのか分からない」「何から調べればよいのか分からない」という段階でも、必要な確認方法を整理しながら進めることができますので、どうぞご気軽にご相談ください。

相続登記の必要書類や手続きの流れ、費用については、相続登記のご案内もご覧ください。